居酒屋にカギを忘れてきちゃった!

息子の幼稚園卒業から数年経った今でも、その時のママ友とは深い親交がある。お互い仕事や介護で忙しく、メンバーは固定化されるようになってしまったけれど、私にとっては育児の苦楽を共にしてきた、ある意味家族に近いような存在だ。

ママ友の一人が旦那さんの転勤で九州に引っ越すことになったので、土曜の夜居酒屋に集まり、みんなで彼女のお別れ会をすることになった。彼女の子供たちはみんなうちの子供たちと同じ学年だったということもあり、特に家族ぐるみで親しくしていた。だからちょっと、切なすぎてしまったのだ。

私はその日、いつもよりも飲み過ぎてしまったのは否めない。泣きながら酒を飲み、飲みながらまた泣く、を繰り返しているうちに、すっかり酩酊状態になってしまった。酔っ払った私は別れ際何度も彼女とハグを繰り返し、他のママ友に引きずられるようにしてタクシーに乗り込んだ。ちゃんと記憶があるというのが今思えば皮肉である。すっかり電気の消えた家に着いたとき、私はようやくそこで自宅のカギがないことに気づいた。タクシーに忘れてきたのかと思ったけれど、支払いは友人が済ませてくれたので、私はカバンを開けていない。となると、やはり先ほどの居酒屋に忘れてきたとしか考えられない。夜が明けたら夫に車を出してもらって取りに行こうかとも思ったけれど、物が物なのですぐにでも取り戻さないと気持ちが悪い。私はチャイムを何度も鳴らして夫を起こし、不機嫌極まりない夫に車で居酒屋まで連れて行ってもらった。酔いはすっかり冷めていた。それに先ほどの自分の失態ぶりの記憶もちゃんとある。店員さんにはきっと顔を覚えられているだろう…と思ったらとてもじゃないけれど、自分で取りに行く気にはなれず、結局夫に取りに行ってもらったのだった。

あれから夫には飲み会禁止令を発令されてしまった。私は大人しくしながら禁止令解禁日を、首を長くして待っているところだ。